「事業内容のページには、会社の思いや強みを書く」と思われがちですが、発注する側はそこを読んでいません。 読んでいるのは、自分が困っている仕事を頼めるかどうかです。そしてそれは、数字でしか答えられません。 この記事では、対応範囲として書き出す8項目を挙げます。製造業を中心に、建設・設備工事と卸売・運送の書き換え例も付けます。自社の分を埋めるだけなら、2時間ほどで終わります。

発注側は「強み」を読まない。対応できるかだけを見ている

展示会で名刺交換した相手が、後日サイトを開く。あるいは、取引先の担当者が新しい発注先を探している。このとき相手がやっているのは、候補から外す作業です。

初めて見る会社のサイトで、5分以内に確認したいこと

順番はだいたい決まっています。

  1. 自分が頼みたいものを扱っているか
  2. その寸法・数量で受けてもらえるか
  3. いつまでにできるか
  4. 会社として続いているか(所在地、設立年、従業員数)

1から3で答えが出ないと、4まで進みません。候補から外れるのは、比較で負けたときではなく、判断できなかったときです。

「高品質・短納期・低コスト」が判断に使えない理由

この3語は、どの同業のサイトにも書いてあります。並べて比べたときに差が出ないので、選ぶ材料になりません。

それだけではなく、書いた側の情報を何も伝えていません。 短納期と書いてあっても、相手が知りたい「来週の金曜に間に合うか」には答えていない。読んだ人は、結局電話で聞くか、別の会社を見に行くことになります。

言い換えれば、抽象的な言葉は問い合わせを増やすのではなく、問い合わせる手間を相手に押し付けています。

書き出す8項目

製造業を例に挙げます。自社の言葉に置き換えてください。

①扱える材質・品目

品名を並べます。金属加工なら SS400、SUS304、A5052 のように規格名で書く。発注側はこの言葉で探しています。

扱わないものも書いてください。「チタン・インコネルは対応していません」と書くことで、相手はすぐ次を探せます。これは親切であると同時に、自社に来る無駄な問い合わせを減らします。

②寸法と重量の上限

設備で決まっている数字なので、調べれば書けます。最大加工径、テーブルサイズ、天井クレーンの吊り上げ荷重。

上限を書かないと、相手は「たぶん無理だろう」と判断します。 実際には収まる案件でも、確認の連絡は来ません。

③ロット

最小と最大の両方を書きます。1個から受けるのか、100個からなのか。ここは相手が最も気にする箇所で、かつ同業でばらつきが大きい。

「小ロット対応」だけでは足りません。相手の言う小ロットと、こちらの言う小ロットが同じとは限らないからです。

④納期

最短と標準を分けて書いてください。

  • 標準:図面確定から◯営業日
  • 最短:材料が在庫にある場合◯営業日

「短納期対応」の4文字より、この2行の方が信用されます。そして、標準納期を書いておくと、無理な納期の相談が減ります。

⑤保有設備の一覧

メーカー・型式・台数を表にします。地味ですが、同業や発注担当者はここを見て力量を判断します。

型式は検索の入口にもなります。特定の設備でしか作れない部品を探している人は、その型式で調べることがあります。狙って書くものではなく、事実を並べておけば当たる、という程度の話です。

⑥受け取れる図面・データの形式

DXF、STEP、PDF、紙の手書き。手書きを受けられるなら必ず書いてください。 中小企業同士の取引では、まだ手書きのFAXが動いています。

「CADデータで送らないといけないのか」と迷って問い合わせをやめる人がいます。

⑦認証・資格・許可

ISO 9001、建設業許可の番号、必要な技能士の保有者数。取引先の購買部門が新規口座を開くときの条件になっていることがあります。

持っていないものを書く必要はありません。持っているものを漏らさないでください。

⑧対応エリアと運搬

自社便があるか、どこまで行くか。引き取りに来てもらう必要があるか。滋賀県内なら、県内全域か湖南・湖東までか。

業種別の書き換え例

製造業以外でも、考え方は同じです。

建設・設備工事

項目書く内容
対応工種電気、空調、給排水、外構など
規模対応できる延床面積、工事金額の下限と上限
エリア市町村名で書く
資格一級建築士、電気工事施工管理技士、保有者数
保有重機車種と台数
対応時間夜間・休日の工事を受けるか

工事は「実績」で見られると思われがちですが、実績写真の前に、まず受けられる規模を確認されます。

卸売・運送

卸売なら、取扱メーカー、最小注文金額、在庫を持っている品目、納品までの日数。運送なら、車種と台数、温度帯、最大積載、対応エリア、対応時間帯。

運送で意外に効くのが車種と台数です。相手は「この荷物が積めるか」を見ています。

なお、この8項目は求職者にも読まれます。求人サイト経由で応募を検討している人は、事業内容のページで「何を作っている会社か」を確認します。採用ページ側の作り方は社員10人の会社の採用ページ。大手の構成から削って作るに書きました。

数字を書くと、断る問い合わせが増える

ここまで読んで、こう思われたかもしれません。対応できないと明記したら、仕事が減るのではないか。

減りません。減るのは、受けられない相談です。

対応範囲を書く前と後で変わるのは、問い合わせの中身です。前は「こういうのできますか」から始まる。後は「この図面で20個、3週間でお願いできますか」から始まる。前者は見積を出すまでに何度も往復します。後者はその場で判断できます。

実際に会社サイトを再生した例では、「弊社の強み」の段落を削って対応範囲の表を入れたページの方が、問い合わせの内容が具体的になりました。 件数が倍になるわけではありません。変わるのは1件あたりに使う時間です。

当社は、トップページのキャッチコピーを直すより、この1枚を作る方を先に勧めています。

この1枚を作る手順

  1. 直近1年で断った相談を3件思い出し、断った理由を書き出す(材質が違った、数量が合わない、納期が無理だった)
  2. その理由を裏返して、対応できる範囲の数字にする
  3. 設備の一覧を、現場で型式を見ながら書く
  4. 認証と許可の番号を、証書から写す
  5. 8項目を表にして、1ページにまとめる
  6. 扱わないものを、最後に1行足す

3番が面倒です。現場に行って銘板を見る作業で、台数が多ければ半日かかります。ただ、ここを人任せにすると型式が間違ったまま公開されます。

ページを増やす費用は、当社では1ページ 30,000円〜(料金ページに記載)です。既存サイトに1枚足すだけなので、全面の作り直しは要りません。

数字を書いても引き合いが来ない場合

2つあります。

そもそも見られていない場合。 対応範囲を書くことは、見つけてもらうこととは別の問題です。書いたうえで検索から入ってくる状態を作る必要があり、それは狙うキーワードの決め方の話になります。

価格で負けている場合。 対応範囲が合っていて、それでも受注にならないなら、比較されて価格で落ちています。この場合にページを直しても動きません。

それと、正直に書いておきます。対応範囲を公開すると、同業に見られます。 設備と材質が分かれば、力量の見当がつきます。それを嫌って書かない会社があるのは理解できます。ただ、同業に隠すために発注側にも隠している状態なので、どちらを取るかの判断になります。当社は書く方を勧めます。

まとめ

直近1年で断った相談を3件思い出して、断った理由を書き出してください。断る基準は、そのまま対応範囲の数字になります。3件書ければ、この記事の8項目のうち半分は埋まります。

当社では、今あるサイトを見ながら、どの項目が抜けているかを確認しています。会社名とサイトのURLをお知らせください。

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この記事を書いた人

しがビズ(株式会社トリプルエッグ)

滋賀県の中小企業向けに、会社サイトの作り直しと、生成AIの業務導入を行っています。対応範囲と料金は料金ページにすべて公開しています。