SEO対策の提案書を受け取った。10キーワードで月5万円と書かれている。並んでいる語を見ても、それが自社に合っているのか判断できない。しかも「検索ボリューム0」と書かれた語が混ざっている。 この記事は、その提案書を判断できるようになるためのものです。 使うのは無料のSearch Console(サーチコンソール)と、社内に溜まっている問い合わせの記録だけです。有料ツールは要りません。BtoBのキーワードは、有料ツールのデータベースに載っていないことが多いためです。 作業は2時間ほどで終わります。

BtoBでは、ツールが「0」と出す語で受注が来る

最初にここを片付けます。提案書の「検索ボリューム0」は、誰も検索していないという意味ではありません。

多くのツールは月10未満をまとめて表示する

キーワードツールは、検索回数を階級に丸めて表示します。月10回未満は「0」「10未満」「−」のいずれかにまとめられ、実際の数は出ません。

つまり 「0」と表示された語のうち、本当に0のものと、月に3回検索されているものが区別できません。 BtoBの語は後者に入りやすい。「SUS304 切削 小ロット」のような語を月に何人が調べるかを考えれば、桁が合わないのは当然です。

月3件の検索で足りるかを、受注単価から逆算する

判断は件数ではなく金額でします。

  • 自社の1件あたりの受注金額(または年間の取引額)
  • 検索から入ってきた人が問い合わせる割合
  • 問い合わせから受注になる割合

月3件の検索があり、そのうち1件が問い合わせ、3か月に1件受注できるとします。取引が続く相手なら、それで十分です。BtoCの物販とは桁が違うので、ボリュームの基準をそのまま持ち込むと判断を間違えます。

参考として、BtoBの主要キーワードは月間100〜1,000回程度で、月10〜100回のものも珍しくない、という整理がferret Oneの記事に出ています。提案書の数字を見るときの目安になります。

①すでに来ている検索語を見る(Search Console)

最も確実で、無料で、今日できます。

過去16か月の「クエリ」を表示回数順に並べる

手順は次のとおりです。

  1. Search Console を開き、自社サイトのプロパティを選ぶ
  2. 左の「検索結果」(検索パフォーマンス)を開く
  3. 期間を「過去16か月」に変える。これが取得できる最長期間です
  4. 下のタブで「クエリ」を選ぶ
  5. 「表示回数」の列で並べ替える

ここに出ている語は、すでに自社サイトが検索結果に出ている語です。推測ではなく実績なので、提案書の候補より優先度が高い。

表示はあるがクリックが少ない語を拾う

並べ替えたら、次の条件で探してください。

  • 表示回数がある程度あるのに、クリック数が0か1
  • 掲載順位が10位から30位くらい

この条件に当たる語は、ページを新しく作らなくても取れることがあります。 直すのは、その語で表示されているページのタイトルと見出しだけです。既に評価されているページなので、一から作るより早い。

どのページが表示されているかは、クエリをクリックして「ページ」タブに切り替えると分かります。

Search Console が入っていない場合

その登録が最初の作業になります。無料で、所有権の確認まで含めて30分ほどです。制作会社が入れているつもりでも、アカウントが制作会社側にあって自社では見られないことがあります。管理画面に入れるかどうかを確認してください。

登録した直後はデータがありません。データが溜まるまで数週間かかるので、その間は次の②から進めてください。

②顧客が使った言葉を、社内の記録から拾う

ここが2つ目の材料です。キーワードは、顧客が実際に使った言葉から作るのが一番外れません。

問い合わせメールの件名と本文から動詞と名詞を抜く

過去1年の問い合わせメールを開いて、次を書き出します。

  • 件名に入っている単語
  • 本文の最初の2行に出てくる品名・材質・工法
  • 「〜はできますか」「〜をお願いしたい」の前に入っている言葉

「ステンレスの薄板の曲げ加工お願いできますか」という1行から、ステンレス/薄板/曲げ加工の3語が取れます。これが検索されている語です。

電話で聞かれた質問を10個集める

電話を受ける人に、よく聞かれる質問を10個挙げてもらってください。会議を開く必要はなく、メモ用紙1枚で足ります。

電話で聞かれる質問は、サイトに答えが書いていない質問です。つまり、書けば検索から拾える可能性がある質問でもあります。

営業が客先で説明に困った言葉を書き留める

社内で当たり前に使っている言葉が、客先で通じないことがあります。逆に、客先が使う言い方が社内と違うこともある。

社内では「治具」と呼んでいるものを、客先は「取付台」と言っているかもしれません。検索されるのは客先の言い方です。 社内用語で書いたページは、誰にも見つかりません。

③対応範囲の数字と掛け合わせる

①と②で語が集まったら、自社の対応範囲と組み合わせます。

「材質 × 加工 × 条件」の形が基本です。ステンレス × 曲げ × 小ロット。電気工事 × 夜間 × 店舗。

この組み合わせは、無理に作るものではありません。自社の対応範囲を事実として書いたページが、結果としてその語で当たります。 先に語を決めてページを書くのではなく、書いたページに語が付く、という順序の方が安定します。対応範囲として書き出す項目はBtoBの会社サイトに書くのは、強みではなく対応範囲の数字にまとめました。

無料でできる確認を1つ足しておきます。Googleの検索窓にその語を打って、表示されるサジェスト(予測候補)と、検索結果の下にある「他の人はこちらも検索」を見てください。実際に打たれている組み合わせが出ます。

地名だけ差し替えたページを作らない

「大津市版」「草津市版」「彦根市版」と地名を入れ替えたページを量産する手法を勧められることがあります。やらないでください。

Googleはこれを誘導ページとして扱います。スパムに関するポリシーの「スケーリングされたコンテンツの不正使用」は、検索順位を操作する目的で価値の薄いページを大量に作る行為を対象にしていて、作成手段がAIか人間かを問いません(出典はGoogle 検索セントラルのスパムに関するポリシー)。違反するとサイト全体が検索結果から消えることがあります。

地名を書くこと自体は問題ありません。対応エリアとして事実を書くのは当然です。問題は、中身が同じページを地名だけ変えて増やすことです。

当社は「10キーワード対策」のような売り方をしていません。対応範囲の事実をページに書き、結果として当たった語を見る、という進め方を取っています。

この方法で見つからないもの

社内のデータから作る方法なので、まだ誰にも聞かれていない需要は見つかりません。

新しく始めた事業、これから増やしたい分野、今の顧客層とは違う相手。こうしたものは過去の問い合わせに出てこないので、この手順では出てきません。そこは有料ツールか、市場を調べる別の作業になります。

もう1つ。この手順で決めた語で、順位が上がるとは限りません。 同業が既に何年も記事を書いている分野では、対応範囲を1ページ書いただけでは届きません。そこから先は、記事を継続して足す話になり、半年単位で見る必要があります。

まとめ

Search Console を開いて、期間を過去16か月にし、「クエリ」を表示回数順に並べてください。ここに出ている語が、提案書の候補より先に検討するべき語です。入っていなければ、その登録が今日の作業になります。

当社は検索キーワードの整理を対応範囲に入れています。今の設定がどうなっているか分からない場合は、サイトのURLをお知らせください。

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この記事を書いた人

しがビズ(株式会社トリプルエッグ)

滋賀県の中小企業向けに、会社サイトの作り直しと、生成AIの業務導入を行っています。検索キーワード、サービスページ、記事、内部リンク、計測の改善までを対応範囲にしています。

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