会社のホームページを作り直すことになり、見積を取ったら98万円だった。内訳を見ても、何にいくらかかっているのかが分からない。社内で説明できないまま止まっている。 この記事は、その状態で読まれることを想定して書いています。 先に結論を書くと、見積が高くなる理由の大半は「素材を一から作る」ことにあります。 今あるサイトから残せる素材が増えるほど、金額は下がります。この記事では、素材を6種類に分けて、それぞれ残せるかどうかを判定する基準を書きます。判定は社内で1時間あれば終わります。

リニューアルの見積が高くなるのは、素材を一から作るから

見積書の項目を金額の大きい順に並べると、上位に来るのはだいたい次のどれかです。

項目何の費用か
ディレクション費打ち合わせ、構成づくり、進行管理
デザイン費画面の設計と見た目づくり
コーディング費設計した画面をブラウザで動く形にする
原稿作成費載せる文章を書く
撮影費載せる写真を撮る
システム費自分で更新できる仕組みの構築

上の4つは、どんな作り方をしても発生します。下から2番目と3番目、つまり太字の2つは違います。素材が手元にあれば消える費用です。

ここで見落とされやすい事情があります。制作会社は、素材が無い前提で見積を作ります。 「ある」と言われていないものを「ある」と見込んで安く出すと、後から追加請求になるからです。つまり、こちらが素材の一覧を出さない限り、見積には作る費用が入ったままになります。

当社が1ページの作り直しを初期費用30,000円、5ページを80,000円で受けているのも、同じ理屈です。使える素材を残し、必要な部分だけ作り直す前提にしています。撮影は別途費用にしていて、これは価格表にそのまま書いてあります。素材を作る仕事を含めるかどうかで、金額は桁が変わります。

素材ごとに残せるかを判定する

ページ単位で「このページは残す、このページは作り直す」と考えると、判定が粗くなります。素材単位で見てください。

文章 ── ほぼ残る

会社概要、沿革、事業内容、代表挨拶。この4つは、10年経っても中身の8割はそのまま使えます。変わっているのは年号と、担当者の名前くらいです。

直す必要があるのは3か所です。

  1. 西暦と元号が混ざっている箇所
  2. 退職した人の名前が入っている箇所
  3. 今はやっていない事業の説明

逆に、そのまま残さない方がいいのはトップページのキャッチコピーです。当時の流行りで書かれていることが多く、今の事業と合っていないことがあります。ここは短いので、書き直しても手間になりません。

写真 ── 残らないことが多い

10年前に撮った写真は、そもそもサイズが足りません。当時はパソコンの画面に合わせて、横幅600〜800ピクセル程度に縮めて載せるのが普通でした。今のスマートフォンは画面の横幅いっぱいに写真を表示するので、引き伸ばされてぼやけます。

判定は自分でできます。画像ファイルを保存して、Macなら「情報を見る」、Windowsなら「プロパティ」の「詳細」を開いてください。短辺が1200ピクセル以上あれば、今のサイトでも使えます。 当社はこの数字を基準にしています。

ただし例外があります。撮り直しが利かない写真は、小さくても残してください。 入れ替えた設備、納品して手元にない製品、解体した建物。こういう写真は、今からいくら費用をかけても手に入りません。小さく使う、白い枠を付けて載せるなど、使い方でごまかせます。

ロゴ ── 元データがあるかで分かれる

サイトに載っている画像を保存しても、それは表示用に縮めたものです。名刺サイズに印刷すると輪郭がぼやけます。

必要なのは元データです。拡張子が .ai .eps .svg のどれかであれば、大きさを変えても崩れません。

探す場所は制作会社ではなく、名刺や封筒を作った印刷会社です。 経験上、ロゴの元データは印刷会社の方が持っています。制作会社はサイトを作るときに受け取った画像しか持っていないことがあります。

ドメインとメール ── 残す

これは判定するまでもなく残します。URLが変われば、名刺、封筒、カタログ、取引先の登録情報がすべて変わります。

ただし「残す」と決めることと、実際に残せることは別です。契約が誰の名義で、どこにあるのかを先に確認してください。作り直しの作業でメールが止まる事故は、ここの確認漏れから起きます。手順は会社サイトを作り直す前に確認する、ドメインとメールの4項目に書きました。

問い合わせフォーム ── 残さない方がいい

10年前のフォームは、入力内容をメールで送るだけのものがほとんどです。送信の記録が残らないため、届かなかったときに調べる手段がありません。迷惑メール対策も入っていないことが多く、業者からの自動送信で埋まります。

ここは作り直してください。フォーム自体は作る費用が小さく、残すことで得られるものがありません。

実績・施工事例・取扱品目 ── 最も価値が高い

見落とされがちですが、検索から人が入ってくるのはトップページではなく、この種のページです。 「◯◯ 施工 滋賀」「◯◯ 取扱」で調べた人が、いきなり事例ページに着きます。10年分の蓄積があるなら、それが一番の資産です。

注意点が1つあります。ページの置き場所(URL)が変わると、検索結果に出ていた入口が消えます。旧URLと新URLの対応表を作って、古いURLから新しいURLへ自動で転送する設定を依頼してください。これは制作会社に言えば対応できる作業です。言わないとやってもらえない作業でもあります。

残さない方がいいもの

素材が残せると分かると、今度は全部残したくなります。次の4つは外してください。

  • 5年以上前で止まっている「お知らせ」欄 ── 更新が止まっている会社だと伝わる
  • 退職した社員の顔写真 ── 本人の同意の範囲を超えている可能性がある
  • 今は扱っていない商材のページ ── 問い合わせが来ても断ることになる
  • トップページのスライドショー ── 2枚目以降はほとんど見られない

「お知らせ」については、消すか、日付を表示しない形に変えるかの二択です。消すのが簡単ですが、更新の履歴が信用になる業種(建設業の施工実績など)もあります。判断が付かないなら残して、今後は更新する前提で考えてください。

見積を取り直す前に、社内で1時間かけてやること

順番に進めれば終わります。

  1. 今のサイトのページを全部書き出す。ブラウザでサイトを開き、リンクをたどって一覧にする
  2. 書き出した一覧に、素材6種類の欄を作る(文章・写真・ロゴ・ドメイン・フォーム・実績)
  3. 残す文章を、WordかGoogleドキュメントに貼り付ける。ページごとにファイルを分ける
  4. フォルダを1つ作り、短辺1200ピクセル以上の写真だけを入れる
  5. その一覧とファイルを添えて、制作会社に再見積を依頼する

正直に言うと、4番が面倒です。写真を1枚ずつ開いてサイズを確認する作業で、枚数によっては半日かかります。ただ、ここを飛ばすと撮影費が見積に載ったままになります。撮影を外注すれば、半日では済まない金額になります。

それでも作り直しになる場合

素材を揃えても金額が下がらないケースがあります。

  • 会員機能や在庫連動など、仕組みが動いているサイト ── 費用の大半がシステム側にあるため、文章や写真を渡しても変わらない
  • ページ数が100を超えるサイト ── 移す作業そのものに時間がかかる
  • 自分で更新できる仕組みごと入れ替える場合 ── 中身の移行作業が別に発生する

それと、はっきり書いておきます。素材を全部揃えても、設計と実装の費用は消えません。 下がるのは原稿作成費と撮影費の部分です。98万円の見積が、素材を渡したら10万円になることはありません。

どこまで下がるかは、その見積書の中で原稿と撮影がいくらを占めているかで決まります。だから最初にやるのは、素材集めではなく見積書の項目を確認することです。項目が「一式」としか書かれていないなら、内訳を出してもらってください。内訳を出さない会社とは、この先の話ができません。

まとめ

手元の見積書を開いて、項目ごとに「この費用は、素材を渡せば消えるか」を書き込んでください。消える項目が見つかれば、この記事の素材判定に進む価値があります。見つからなければ、その見積は素材の話ではなく、範囲の話です。

当社では、今あるサイトを一緒に見て、残せる素材と作り直す範囲を先に確定してから金額を出しています。会社名とサイトのURLをお知らせください。

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この記事を書いた人

しがビズ(株式会社トリプルエッグ)

滋賀県の中小企業向けに、会社サイトの作り直しと、生成AIの業務導入を行っています。対応範囲と料金は料金ページにすべて公開しています。