Instagramを担当していたスタッフが辞めることになった。そのスタッフの個人のスマホでログインしていて、パスワードを知らない。
この記事は、その状態を防ぐためと、起きてしまったときのためのものです。
SNSの引き継ぎを扱った記事は、タタップ、かっこ、デジタルリスクラボのように、従業員が数十人いる会社向けに書かれています。運用体制、炎上対応、ガバナンス。スタッフ2〜3人の店では回りません。ここでは、店でできる範囲に絞ります。
まず、誰の名義で作られているかを確かめる
確認する3か所
アカウントが誰のものかは、登録に使ったメールアドレスと電話番号で決まります。ログインできているかどうかではありません。
3つ確認してください。
- Instagram:設定 → アカウントセンター → 個人の情報 → 連絡先情報。ここに出るメールアドレスと電話番号が誰のものか
- LINE公式アカウント:設定 → 権限管理(メンバー一覧)。誰が入っているか
- Googleビジネスプロフィール:ユーザー一覧。オーナーが誰になっているか
スタッフの個人メールや個人の携帯番号が入っていたら、そこが弱点です。
いちばん多いのは、開設をスタッフに任せて、そのスタッフが自分のメールで作ったパターンです。悪意はありません。ただ、その時点でアカウントはそのスタッフに紐づいています。
サービスごとに仕組みが違う
ここが整理されていないまま「権限管理をしましょう」と言われても動けません。3つは仕組みがまったく違います。
LINE公式アカウント
いちばん筋がいい仕組みです。LINE公式アカウントは、複数の人を権限つきで招待できます。
招待は管理画面からURLを発行して渡す形で、公式のマニュアルにはこう書かれています。
認証用URLは発行から24時間失効するのでご注意ください一回の発行につき一人のユーザーのみ有効です(権限を管理する|LINEヤフー for Business)
1つのアカウントに100人まで登録できます。招待される側も、LINEログイン用のメールアドレスを設定しておく必要があります。
つまり、店主が入っていれば、スタッフが抜けてもアカウントは残ります。逆に、店主が入っていない状態でスタッフだけが管理していると、危ない。
今すぐ確認してください。メンバー一覧に店主自身が入っているかどうか。入っていなければ、今日足してください。
いちばん厄介です。Instagramには、LINEのような「店のアカウントに人を招待する」仕組みが標準では用意されていません。
プロアカウントにしてFacebookページと連携すれば、Meta側の管理ツールで権限を分けられます。ただ、その設定をしている個人店はほとんどありません。実際には、IDとパスワードを共有して使っているのが実情です。
だから、Instagramで守るべき点は1つに絞られます。登録のメールアドレスと電話番号を、店のものにしておくこと。
店名義のメールアドレス(例:info@店のドメイン、無ければGmailで店用に1つ作る)を用意し、それを登録情報にする。電話番号も店の番号にする。これだけで、パスワードを忘れても自分で再設定できます。
Googleビジネスプロフィール
こちらは権限がオーナーと管理者に分かれています。オーナーは他の人を追加・削除でき、プロフィールを削除することもできます。
店主がオーナー、業者やスタッフは管理者。この形が基本です。詳しくはGoogleビジネスプロフィールのオーナー確認が通らないときに書きました。
辞める前にやること
退職が決まってから、辞める日までにやることです。辞めた後では難しくなります。
- 登録メールアドレスと電話番号を、店のものに変える。これが最優先。Instagramは特にここだけが頼りです
- パスワードを変更する。新しいパスワードを店主が保管する
- 二段階認証の設定を確認する。スタッフの個人スマホの認証アプリに紐づいていると、辞めた後にログインできなくなります。店の端末か店主のスマホに移す
- LINE公式アカウントのメンバー一覧から、そのスタッフを外す。同時に店主が入っていることを確認する
- Googleビジネスプロフィールのユーザー一覧から外す
3番を忘れる店が多い。パスワードを変えても、二段階認証のコードが辞めたスタッフのスマホに届く状態だと、結局ログインできません。
引き継ぎの面談で、この5つを一緒に画面を見ながらやってください。口頭で「やっておいて」と頼むと、たいてい漏れます。
もう連絡が取れない場合
正直に書きます。取り戻せないことがあります。
登録メールも電話番号も本人のもので、本人と連絡が取れない。この状態だと、パスワードの再設定ができません。
できることは2つです。
1つ目:本人に連絡を試みる。気まずくても、これがいちばん早い。円満に辞めているなら、たいていは協力してもらえます。
2つ目:運営に申し立てる。Instagramには、なりすましや権限に関する報告の窓口があります。店の正式な代表者であることを示す必要があるので、屋号が分かる書類、店舗の所在地、公式サイトを用意します。ただし、通る保証はありません。
そして、現実的な3つ目があります。諦めて作り直す。
フォロワーはゼロからになりますが、アカウント名を新しくして、Googleマップとホームページからそちらへ案内し直す方が、動かない交渉を続けるより早いことがあります。判断の分かれ目は、フォロワー数と、そのアカウントからの来店が実際にあるかどうかです。
この決断をしなくて済むように、辞める前に手を打ってください。
業者に渡していい権限、渡してはいけない権限
ここからは、SNSの運用代行を受けている側としての話です。
当社がお客様のアカウントをお預かりするとき、もらう権限ともらわない権限を決めています。
| 当社がもらうもの | もらわないもの | |
|---|---|---|
| LINE公式アカウント | メンバーとしての権限 | アカウントの所有そのもの |
| 投稿に必要な範囲のログイン情報 | 登録メールアドレス・電話番号の変更権限 | |
| Googleビジネスプロフィール | 管理者 | オーナー |
理由は単純です。契約が終わったときに、お客様の手元に何も残らない状態にしたくないからです。
当社が抜けるときは、管理者から外れるだけ。アカウントも、フォロワーも、投稿も、そのまま残ります。ドメインとデータについても同じ考え方で、解約時にお返しすると契約書に書いています(ホームページを解約したら、ドメインは誰のものになるか)。
業者に頼むときは、この1問を聞いてください。
「解約したら、アカウントはどうなりますか」
答えが「お客様のものです。当社が権限から抜けるだけです」なら問題ありません。言葉を濁す、あるいは『こちらで管理しています』と答える会社は、契約前に理由を確認してください。
そしてもう1つ。業者に登録メールアドレスを業者のものにされていないかを確認してください。ここが業者名義だと、Instagramの場合は実質的にアカウントを握られたことになります。
まとめ
Instagramの設定を開いて、登録されているメールアドレスが誰のものかを確認してください。1分で終わります。
そこがスタッフの個人アドレスになっていたら、今日のうちに店名義のものへ変えてください。辞めると決まってからでは、話を切り出しにくくなります。
現在の友だち数、配信頻度、リッチメニューを伺い、優先する改善をご案内します。
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