メニュー表の写真が5年前のまま。Googleマップの写真も古い。撮り直したいが、仕込みと営業で時間がない。ChatGPTで料理の画像が作れると聞いて、それで済ませようと考えている。
この記事は、AIで作った料理の画像を店のどこに使ってよく、どこに使わない方がいいかを決めるためのものです。
結論を先に書きます。料理そのものの写真としては使わない。 メニュー表、Googleマップ、ホームページのメニュー欄は、スマートフォンで撮った実物の写真にします。AIの画像を使うなら、料理ではない部分に限ります。
料理の写真をAIで作ると、何が問題になるか
客は気づく
2026年8月中旬、AIで作った飲食店の販促物が、X(旧Twitter)で相次いで批判されました。週刊アスキーの記事によると、「唐揚げとは程遠い見た目の何かが盛られている」「つゆに沈んだ麺の形が整い過ぎている」といった指摘で、「気持ち悪い」という声が集まりました。
AIの料理画像は、ぱっと見はきれいでも、細部がおかしい。箸の本数、器の縁、麺のつながり方。毎日食べ物を見ている客は、違和感に気づきます。気づかれた時点で、店の料理そのものが疑われます。
実物より良く見せると、景品表示法の問題になる
景品表示法は、商品を実際よりも著しく良く見せる表示を禁じています(優良誤認)。料理の写真もこの「表示」に入ります。
AIで作った画像は、実物の料理を写したものではありません。具が多い、照りがある、量が多い。実物にないものが描かれていれば、それだけで実物との差になります。飲食店向けにAI活用を勧めている atsoho の記事でさえ、「実物と異なる料理をAIで生成して販促に使うと、景品表示法上の優良誤認にあたるおそれ」と書いています。
「写真はイメージです」では打ち消せない
小さく「※写真はイメージです」と書けば済む、と考える人は多いと思います。
消費者庁は、目立つ表示の近くにない注記や、小さな注記を、打ち消しとして認めない考え方をとっています。2023年に措置命令が出たドミノ・ピザの件は料金の表示でしたが、サービス料の説明は存在していたのに、小さく離れた場所にあったため消費者の認識を打ち消していない、と判断されました。
注記を付けても、料理の写真を見た客は「この料理が出てくる」と受け取ります。 注記は、言い訳にはなっても、問題を消しません。
Googleも、ビジネスプロフィールの写真について「大幅な加工や過度のフィルタ使用は避けてください。雰囲気をありのままに伝える画像をお選びください」とヘルプに書いています。AIで作った画像についての明記はありませんが、加工より遠いものであることは確かです。
使ってよい場所と、使わない場所
線を引く基準は1つです。客がその画像を見て「実物はこうだ」と受け取るかどうか。
| 使う場所 | AIの画像 | 理由 |
|---|---|---|
| メニュー表の料理写真 | 使わない | 注文する料理そのものとして見られる |
| Googleマップの写真 | 使わない | Googleのガイドラインは「ありのまま」。店内・料理・外観の実物を載せる場所 |
| ホームページのメニュー欄 | 使わない | メニュー表と同じ |
| Instagramの料理の投稿 | 使わない | 来店のきっかけになる写真。フォロワーは常連でもある |
| 季節の告知ポスターの背景(紅葉、桜の飾り) | 使ってよい | 料理や店そのものではない |
| 「年末年始の営業」など告知画像の飾り | 使ってよい | 同上 |
| 新メニューの予告で、まだ料理が無いとき | 原則使わない | 使うなら「完成予想図」と大きく書き、発売日に実物の写真に替える |
迷うのは最後の行です。開店前の店や新メニューの予告では、写真がまだ撮れません。その場合も、料理の画像を作るより、文字だけの告知の方が安全です。 「12月1日から、近江牛のすき焼き定食をはじめます」と書けば、写真が無くても伝わります。
もう1つ迷うのが、実物の写真をAIで直すことです。明るさを上げる、傾きを直す、背景の段ボールを消す。この程度は加工の範囲で、写っている料理は実物のままです。料理に具を足す、量を増やす、器を替える、はAIの生成と同じ扱いです。 加工の線引きは店の写真をスマホで撮るにも書きました。
AIは写真の外で使う
AIで画像を作りたいのは、撮影の手間を減らしたいからだと思います。それなら、手間の減らし方を変えます。
撮影は、思っているほど時間がかかりません。営業前の30分で、外観・店内・主なメニュー5品は撮れます。窓際の自然光で、ズームを使わずに撮るだけです。手順は店の写真をスマホで撮るに一覧を置いています。
AIが役に立つのは、写真の外です。メニューの説明文の下書き、季節の告知の文章、口コミへの返信の下書き。当社も、ホームページの文章の下書きにAIを使っています。
文章は店主が読んで、事実と違えば直せます。写真は、客が実物と見比べます。 だから文章と写真で扱いを分ける、というのが当社の考えです。
古いメニュー写真が残っている場合は、値段や盛り付けが変わっていないかも確かめてください。古い写真と古い値段は、ネットのあちこちに残ります。探し方は値上げしたら、ネットに残った古い値段を探して直すにまとめました。
すでに使ってしまったとき
使ってしまった画像は、場所ごとに外す順番が違います。
- Googleマップの写真は、今日消す。 管理画面の写真の一覧から、自分で載せたものは削除できます。地図で店を探す人が最初に見る場所なので、ここが一番先です
- ホームページとInstagramは、今週中に替える。 Instagramは投稿を削除するか、実物の写真の投稿に差し替えます。アーカイブにすれば、見えなくなるだけで消えません
- 印刷したメニュー表は、次の刷り直しで替える。 刷り直すまでは、テーブルで「写真と盛り付けが違うことがあります」と口で伝える方が、小さな注記よりも誠実です
口コミに「写真と違った」と書かれたら、言い訳をせずに返信します。「メニューの写真を実物に替えました。ご指摘ありがとうございました」と、直したことを書く。返信の書き方はGoogleの口コミへの返信例文に例を置いています。
一度疑われた写真は、店の他の写真まで疑わせます。 外すのは早いほどいい。
まとめ
今日やることは1つです。自分の店のGoogleマップの写真を開き、AIで作った料理の画像があれば削除してください。
自分で載せたものは、管理画面の写真の一覧から消せます。その代わりに、明日の営業前に1品だけ、実物を窓際で撮って載せる。それで十分です。
出典
- 週刊アスキー「「気持ち悪い…」飲食店のAI販促物、SNSで相次ぎ注目 使い方の問題か」(2026年8月17日)
- Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ビジネス プロフィールの写真と動画を管理する」(写真のガイドライン)
- 消費者庁「優良誤認とは」
- 弁護士JP「ドミノピザのケースから考える景表法」(2023年7月3日)
- atsoho(飲食店のメニュー販促にAIを使う手順と注意点)
