業者から提案が来た。「レジ横にQRコードを置くだけ。お客様がアンケートに答えると、AIが口コミの文章を作ってくれます。あとはコピーして投稿するだけなので、口コミがどんどん増えます」。導入している店は何千もあるという。
この記事は、その提案を受けた店主のためのものです。この種のサービスそのものが違反だとは書きません。どう作られているかで、Googleのルールに引っかかるかどうかが変わります。その見分け方を書きます。
AIが下書きして、お客様が投稿する仕組み
DX Magazine(2026年9月22日)が紹介しているサービスの流れは、こうです。
- 来店したお客様が、店頭のQRコードを読み取るか、スマートフォンをかざしてアンケートに答える
- AIが、その答えをもとに口コミの文章の下書きを作る
- お客様は下書きを確かめ、直して、投稿するかどうかを決める
hashout(2026年9月26日)は、同じ種類のサービスが8,000店舗に入っていると伝え、設計によっては、評価の高い客だけに投稿を促す「レビューゲーティング」になり、プロフィールの停止や口コミの削除につながるおそれがある、と書いています。
ただ、Googleのルールで引っかかりうるのは、その1か所だけではありません。
Googleのルールで、引っかかりうる4か所
Googleマップの投稿のルール(マップユーザーの投稿コンテンツに関するポリシー)は、「虚偽のエンゲージメント」や「評価の操作」として、店が口コミを集めるときにやってはいけないことを並べています。この種のサービスの作りと照らし合わせると、次の4か所が要注意です。
| ポリシーの条文(要旨) | サービスで起きうること |
|---|---|
| 肯定的なクチコミを選択的に募る、否定的なクチコミの投稿を妨げる | アンケートで満足度が高い人にだけ「Googleに投稿」の案内が出る |
| その場で評価やクチコミを残すことを要求・強要する | レジ前でQRを読ませ、帰る前に投稿まで済ませてもらう流れ |
| 一定数のクチコミを募るよう、スタッフに求める | 「今月は何件」とスタッフに目標を持たせる |
| スタッフを特定するなど、具体的な内容を含むクチコミを募るよう求める | アンケートで「担当者名」を聞き、AIの文章にスタッフ名が入る |
肯定的な口コミだけを募る
いちばん分かりやすいのがこれです。アンケートで「満足」と答えた人には投稿の画面に進ませ、「不満」と答えた人には「ご意見ありがとうございました」で終わらせる。Googleが名指しで禁じている形です。
その場で書かせる
見落とされやすいのはここです。Googleは、口コミを頼むときにその場で評価を残したり口コミを書いたりすることを要求・強要することを禁じています。QRコードをレジ横に置き、会計の間に投稿まで済ませてもらう使い方は、この条文に近づきます。当社が口コミの頼み方の記事で、会計のときを避けて、持ち帰ってもらう形を勧めているのはこのためです(Googleの口コミを増やす頼み方)。
スタッフに件数を求める
サービスを入れると、件数が管理画面に出るものがあります。それを見て「今月は30件」とスタッフに目標を渡すと、件数のノルマにあたります。
スタッフ名や具体的な内容を入れさせる
アンケートで担当のスタッフ名やメニュー名を聞き、それがAIの文章に入る作りなら、具体的な内容を含む口コミを募ることに近づきます。
業者に聞く4つの質問
提案を受けたら、次の4つを聞いてください。答えで判断できます。
- アンケートで低い評価を付けた人にも、Googleへの投稿の案内は出ますか。 出ない、または出し方が違うなら、肯定的な口コミだけを募る作りです
- お客様が店にいる間に投稿まで終える使い方を勧めていますか。 その場での投稿を要求・強要する運用なら避けます。QRコードの設置や、お客様が自発的に投稿することだけで違反と決めつけません
- AIの文章に、店が指定した言葉(店名の言い方、メニュー名、スタッフ名、「おすすめ」など)が入りますか。 入るなら、内容への関与です
- 割引や特典と組み合わせることを勧めていますか。 Googleは、口コミと引き換えのインセンティブを禁じています
いちばん確実なのは、業者の説明を聞くより、自分でアンケートに答えてみることです。わざと一番低い評価を付けて、その後に何が表示されるかを見てください。
当社が勧めない理由と、それでも使うときの条件
当社は、この種のサービスを勧めていません。理由は1つです。文章を先にAIが書く作りは、お客様の言葉より店の側の言葉が先に立つからです。お客様が直せる作りでも、下書きのまま投稿されれば、読む人には似た言い回しの口コミが並んで見えます。
当社は、口コミを操作する作業はお受けしません。増やすより、来た口コミに返事を返す方を先に整えてください(Googleの口コミへの返信例文)。
それでも使うなら、外せない条件は4つです。上の質問1は「はい」、質問2〜4は「いいえ」であること。低い評価の人にも同じ案内が出て、店の中で書かせず、店の言葉が入らず、特典と組み合わせない。
できないことも書いておきます。条件を守っていても、短い期間に口コミが急に増えると、Googleの判定で口コミがまとめて消えることがあります(増やそうとした口コミほど消える)。プロフィールが止まった場合の戻し方はGoogleビジネスプロフィールが停止されたにまとめました。消えた口コミを、店が自分で再表示することはできません。誤って削除されたと思われる場合は、Googleのサポートに相談します。
まとめ
今日やることは1つです。勧められているサービスのアンケートに、自分で一番低い評価を付けて答え、その後の画面を見てください。
Googleへの投稿の案内が出なければ、その時点で断る理由になります。
出典
- マップユーザーの投稿コンテンツに関するポリシー「禁止または制限されているコンテンツ」(評価の操作など:肯定的なクチコミを選択的に募る、その場で評価やクチコミを残すことを要求・強要する、スタッフに一定数のクチコミを募るよう要求する、具体的なコンテンツを含むクチコミを募るよう要求する。インセンティブの禁止。2026-10-30に確認)
- hashout「AIがGoogle口コミを自動生成、8000店舗導入の一方でBANリスクも指摘」(2026-09-26)
- DX Magazine「QRコードをかざすだけ。AIがGoogle投稿文を作成」(2026-09-22)
