隣の店の口コミが80件で、自分の店は6件。増やしたいが、割引と引き換えに頼んでいいのかがわからない。
この記事は、その線引きを決めるためのものです。守るべきルールは2つあって、片方だけを見ていると足をすくわれます。よく紹介されている「会計のときにQRコードを見せて、その場で書いてもらう」も、実はGoogleが禁止している行為に触れます。
禁止されていることを先に出し、そのうえで明日から使える頼み方を書きます。
物差しが2本ある
口コミの依頼を縛っているルールは2つです。別々の団体が、別々の目的で作っているので、線が一致していません。
景品表示法(ステマ規制)の線
2023年(令和5年)10月1日から、ステルスマーケティングは景品表示法違反になりました。事業者が書かせた広告なのに、消費者がそれを広告だと判別できない表示が対象です。
問題になるのは、店が投稿の中身に関わったかどうかです。消費者庁のQ&Aには、こうあります。
- 割引価格でサービスを提供し、その代わりに口コミ投稿を依頼するだけなら、通常「事業者の表示」には当たらない
- ただし「星5」を付けることを条件にすれば、内容の決定に関与したことになり「事業者の表示」に当たる
- 「レビュー投稿を行うことを条件として、次回購入用クーポン券を提供する」場合も、通常「事業者の表示」には当たらない
つまり法律の側から見ると、中身を指定しない限り、割引やクーポンと引き換えの依頼は違反になりません。
Googleのポリシーの線
ところが、Googleのポリシーはまったく別のことを言っています。
クチコミの投稿や否定的なクチコミの修正または削除と引き換えに、インセンティブ(金銭的報酬、割引、無料の商品やサービスなど)を提供する行為(禁止および制限されているコンテンツ)
これは禁止行為として列挙されています。割引と名指しで書かれています。
割引は、法律上はセーフでGoogle上はアウト
並べるとこうなります。
| 店がやること | 景品表示法 | Googleのポリシー |
|---|---|---|
| 何も渡さず、口頭で頼む | 問題なし | 問題なし |
| 割引やクーポンを渡して頼む(内容は指定しない) | 原則、違反にならない | 禁止 |
| 「星5で」と指定して頼む | 違反。広告と明示が必要 | 禁止 |
口コミコム、Gyro-n、STOREPAD、PLUSWEB。読んだ4本とも、このどちらか片方の物差ししか使っていません。景表法だけを見て「クーポンなら大丈夫」と書いてある記事を読んで実行すると、Googleのポリシーに触れます。
法律に触れなければ罰則はありません。ただしGoogleのポリシーに触れると、口コミがまとめて消えるか、プロフィールそのものが止まります。店にとっては、こちらの方が痛い。
だから、この記事では厳しい方のGoogleの線に合わせます。
やってはいけないこと
Googleの原文から、店側が禁止されている行為を抜き出します。
見返りを条件にする
割引、無料サービス、ドリンク1杯、次回使えるクーポン。どれも該当します。「口コミを書いてくれた方に」と書いたPOPを貼った時点でアウトです。
満足した人だけに頼む
顧客からの否定的なクチコミの投稿を妨げたり禁止したり、肯定的なクチコミを選択的に募ったりする行為
アンケートで満足度を聞いて、点数が高かった人にだけGoogleのリンクを送る。この運用が該当します。業界ではレビューゲーティングと呼ばれていて、専用のツールまで売られていますが、Googleの禁止行為です。
その場で書かせる
ここは、上の4本が揃って正反対のことを勧めています。原文を引きます。
クチコミを依頼する際、販売者がユーザーにその場で評価を残したりクチコミを書いたりすることを要求または強要する行為
会計のときにQRコードを差し出して、その場で書いてもらう。口コミを増やす方法として、ほぼ全ての記事で紹介されている手です。しかし「その場で」書くことを求める行為は、名指しで禁止されています。
渡すのは構いません。その場で書かせようとしないこと。この違いです。
スタッフにノルマを課す
「1人5件集めてくること」のような社内の目標設定も、実体験に基づかない投稿を生む原因として問題になります。スタッフが家族や友人に頼み始めるからです。
では、どう頼むのか
禁止を並べたので、残った範囲で何ができるかを書きます。Googleが許可している行為は、原文ではこうなっています。
インセンティブを提供したり、評価やクチコミの内容に影響を与えようとしたりせずに、実体験に基づくコンテンツの投稿を募ったり促したりする行為
見返りを渡さず、中身を指定せず、来た人に頼む。それだけです。
頼むタイミング
会計時は避けてください。お客さんは財布を出していて、後ろに人が並んでいることもある。その場で書いてもらおうとする形になりやすい。
いちばん自然なのは、サービスが終わって、感想を口にしてくれた直後です。美容室ならカットが終わって鏡を見たとき、整体院なら施術後に体の変化を口にしたとき。
言い方
長い説明はいりません。
「ありがとうございます。もしお時間のあるときで構わないので、Googleに感想を書いていただけると助かります。このカードにリンクが入っています」
ここに含まれている要素は3つです。今すぐでなくていいと明示する、中身を指定しない、リンクを渡して終わる。
「星5で」「よかったところを」といった言葉を足さないでください。足した瞬間に、内容への関与になります。
リンクの渡し方
Googleビジネスプロフィールの管理画面から、口コミ投稿用のリンクを取り出せます。
- Google検索で自分の店名を検索し、管理画面を開く
- 「クチコミを増やす」または「クチコミをリクエスト」を押す
- 表示されたリンクをコピーする。QRコードもここで作れる
このリンクを名刺サイズのカードに印刷して、レシートと一緒に渡すのが手軽です。その場で読み取らせようとしないこと。持ち帰ってもらう前提にすると、禁止行為から自然に離れます。
正直に書くと、この方法は歩留まりが悪い。渡した枚数に対して書いてもらえる割合は低いし、その場で書かせる方法より確実に遅い。それでも、まとめて消えるリスクを負わない分だけ、積み上がった件数が残ります。
口コミは本当に順位に効くのか
効きます。これはGoogle公式が明記しています。
クチコミ数が多く評価の高いビジネスは、ローカル検索結果のランキングが高くなります(ローカル検索結果の掲載順位を改善する方法)
ローカル検索の順位を決める要素として公式が挙げているのは、関連性・距離・知名度の3つです。クチコミは知名度に関わるものとして、このページに明記されています。
同じページに、もう1つ書いてあります。
Google では、ランキングを上げるためのリクエストや金銭の受け取りには一切応じておりません
「Googleに掛け合って上位に出します」と電話で言ってくる業者がいたら、この一文を思い出してください。そういう仕組みは存在しません。
ただし、口コミを増やせば必ず上に出るわけではない。距離の要素があるので、検索している人から遠い店は、口コミが多くても上に出ないことがあります。駅前の競合と張り合う場面では、口コミだけでは届きません。
増やす前に、返信を整える
ここはしがみせの立場です。
口コミの依頼と返信のどちらを先にやるかと聞かれたら、返信を先に整えてくださいと答えています。理由は2つあります。
1つ目。返信していない店に口コミが増えても、見ている人には「集めているだけの店」に見えます。特に低い評価が1件放置されていると、新しく来た良い口コミより目立つ。
2つ目。口コミへの返信は、ステマ規制の対象外です。「オーナーからの返信」と明示されるので、事業者の発言であることが読む人に伝わっているからです。店が自由に書ける場所は、実は返信の側なのです。
しがみせでは、口コミ返信の下書きを月5,000円(税別)のオプションにしています。月額3,000円のMEOには含めていません。毎月手が動く作業を月額に入れると、対応が雑になるからです。逆に言えば、月額に口コミ対応が「込み」と書かれている見積書は、中身を確認する価値があります。
返信の書き方はGoogleのクチコミへの返信の書き方と例文に書きました。
まとめ
まず、管理画面から口コミのリンクを取り出して、スマホに保存してください。渡す準備ができていないと、いい場面が来ても声をかけられません。
依頼を始めたあと、口コミの件数が急に減ることがあります。原因と対処は増やそうとした口コミほど消えるに書きました。
